enechain CTOの2025年振り返り

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この記事はenechain Advent Calendar 2025の25日目の記事です。


こんにちは。enechainでCTOを務めている須藤(@sutochin26)です。
2025年も残す所あとわずかとなりました。毎年この時期になると、考えるのはラーメン二郎納めのことです。今年は秋口に念願かなって栃木街道店に行くことが出来まして、本当に最高でした。この後どう納めようとも良い1年でした。

ラーメン二郎栃木街道店

それはさておき、2025年の前に2024年を振り返ってみると、2024年はenechainにおいてテクノロジーが事業上の重要な役割を担い始めた年でした。
eSquare Liveというプロダクトがリリースされ、本格的にプロダクトで売上を創っていく方針が打ち出されました。テック系企業であれば普通の事かもしれませんが、創業期からテクノロジー以外の収益源を中心としている我々にとっては大きな意味を持つ年でした。
techblog.enechain.com

そして、今年は事業状況の変化が開発や組織にも大きく影響を与えた1年でした。
本記事では、2025年に開発組織に起きた変化について、事業状況の変化も踏まえてご紹介したいと思います。

事業状況の変化

今年は大きく2つの事業上の変化がありました。

加速する金融ドメイン知識の重要性

我々は今年、eClearというシステムの大幅な刷新を行いました。詳細は以下の記事で紹介されています。
techblog.enechain.com

このシステム刷新では、非常に複雑な金融領域の知識が求められました。
同時に、昨年リリースしたeSquare Liveの改善においても、金融システム開発の経験がスピードと品質に大きく影響していました。

enechainと言えば、その名前からもエネルギー業界を想像する人が多いと思います。それは全く間違いではありません。
一方で、事業における金融ドメインの存在感は日に日に増しており、金融領域の専門知識なくしてシステム開発は出来ない状況になっています。

高度化する非機能要件

少し前までは、我々が開発するプロダクトというのは、お客様にとってはあくまでNice to haveなものでした。あると良いけど、無くても困らない。そういうレベルの使われ方が中心でした。
しかし、徐々にお客様の重要な業務フローの中に我々のプロダクトが組み込まれるようになり、求められる品質も急激に上がってきています。
また、電力インフラの一部を担っていこうと思うと、外部システムへの依存のようなアンコントローラブルな要素は極力避ける必要があります。
このように、開発するシステムの責任が強まる中で、求められる非機能要件も高度化してきています。

開発の変化

上述のような事業状況の変化を受けて、開発にも多くの変化がありました。
以下に代表的な2つの取り組みを紹介します。

マルチリージョン対応

SREチームやPlatform Engineeringチームを中心に、BCPやDRを目的とした取り組みを進めています。
代表的な取り組みがマルチリージョン対応です。災害等により特定地域のシステムがダウンしても、別地域でシステムが稼働し続ける仕組みを作っています。
インシデントレスポンス等のルール・ドキュメントも改めて見直しました。何かが起きてから考えるのではなく、何かが起きる事を前提とした体制にアップデートしています。

外部システム依存からの脱却

システムがダウンした時に、「利用している外部システムがダウンしたので何も出来ません」という回答が続いてしまうようだと顧客の重要な業務を担うシステムにはなれません。
もちろん「全ての外部依存を一気に無くして内製化」というわけにはいきませんが、外部に頼っていた認証の仕組みを内製化するなどの取り組みをおこなっています。
内製化をすればシステムが安定するかと言えば、もちろんそんなことはなく、むしろ茨の道ではあります。それでも、「説明責任をまっとうした上で品質も最上のものを届ける」という挑戦を選んでいます。
少し前の開発チーム体制であれば、こうした技術的に難易度の高い選択はできなかったと思います。優秀なエンジニアが集まったからこそ、こうした技術面・事業面での大きな決断ができたのだと感じています。

組織の変化

事業状況の変化は、開発だけでなく組織の在り方にも大きな影響を及ぼしています。

海外人材採用の開始、求められる英語力

昨年から、開発組織の英語力強化や海外人材の採用について話を進めていました。
実際に今年は英語話者の採用数が大きく増加しており、テクノロジー本部における今年の最も大きな変化の1つと言えます。
もちろん単純に採用するだけではなく、今までとは異なるバックグラウンドのメンバーを受け入れるために、テクノロジー本部全体の意識変革にも積極的に取り組んできました。

そして、金融ドメインの重要性が増したことにより、英語の重要性は更に高まりました。
我々が必要とするような金融の知識を持った人材は、主に海外にいます。ゆえに、そういった人材の採用を考えれば必然的に英語でのコミュニケーションが中心になります。
海外企業との商談やディスカッションも増えており、一定の責任を伴うポジションのメンバーについては、もはや英語力は必須になってきました。

Tech/Biz一体となった事業チームの組成

少し前のenechainでは、極端に言えば「Bizメンバーが中心となって稼ぎ、TechはNice to haveなシステムで支える」という構図でした。この構図ではTech x Bizの連携はなかなか進みませんでした。Techメンバーはアサイン変更も多く、ドメイン知識も蓄積しにくい状況だったと思います。
現在の事業戦略では、全面的にプロダクトの存在が前提となっています。その事業方針に合わせて、組織の作りもTechとBizが一体となった「事業チーム」の体制をとることが増えています。テクノロジー本部のメンバーが事業責任者を担う事例も出てきました。密な連携をとることにより、複雑化するシステム要件にも応えられる組織になりつつあると感じています。Bizメンバーと近い位置で事業に向き合うことで、金融やエネルギーのドメイン知識を持っていなかったTechメンバーの事業解像度も上がってきています。
元々Tech/Bizという区分けをしてしまうこと自体に抵抗はあり、職種をまたいだ混合チームで事業と向き合うことを目指してきました。時間はかかりましたが、ようやく名実ともにOneチームで動けるようになったことを嬉しく思います。

個人的な振り返り

私はCTOと並行してプラットフォーム開発部の部長も務めていますが、2025年は長年苦労してきたプラットフォーム系人材(Platform Engineer, SRE, Security Engineer)の採用がようやくうまくいった年でした。
時間はかかりましたが、シニアクラス、マネジメントクラスの非常に優秀なメンバーを立て続けに迎え入れることが出来ました。年明けにも複数名のメンバーがjoin予定です。可用性やセキュリティの重要度が増している今のタイミングで組織力を強化出来た意味は大きいと思います。
この採用がうまく行った背景にも組織の英語力強化の取り組みがあり、改めて大きな意思決定だったと感じます。この意思決定をもっと早い段階で出来ていれば…と、悔やまれる気持ちもありますが、ひとまずは採用観点では良い1年でした。

一方で、CTOとしての事業貢献という意味で言うと、悩み多き1年でした。
プラットフォーム開発部の組成に時間をかけすぎてしまったこともあり、プロダクトへの関与が薄まり、目まぐるしく変わる事業状況にキャッチアップしきれていない課題感があります。また、プラットフォーム開発においても、もっと事業を中心に据えた意思決定、方針の打ち出しが出来たように思います。
来年は改めて事業・経営への関与を厚くしていくつもりです。今月から始まった新しいOKR期においては、プラットフォームメンバーにも「いかに事業に貢献するか」という事を今まで以上に伝えており、それによってチームの方針がクリアになっているという手応えがあります。
「プラットフォーム開発部の組成に時間をかけすぎてしまった」とは書きましたが、結果として組成したプラットフォームチームは、今後の事業展開においては我々の大きな武器になると思っています。セキュリティの強さや可用性の高さは、我々の事業ドメインにおいては極めて大きな優位性になります。
プロダクトへの関与を厚くしていくのと同時に、「事業に貢献するプラットフォームチームを創る」というのも1つの挑戦として取り組んでいくつもりです。

おわりに

2025年をCTO視点で振り返ってみました。
事業が今までよりも一段階進んだフェーズに入ってきたのを肌で感じる1年でした。

非機能要件が高度化する中で、エンジニアとしてはやりがいのある取り組みが増えてきたと感じています。守りを固めるというよりは、攻めの材料を創っていくという意識で取り組んで行きたいと考えています。

海外人材採用が軌道に乗ったのはシンプルに良かったことで、今後も多様性に富んだメンバーが増えていくのが楽しみです。

CTOとしては、先回りできなかったことも沢山あり、反省も多い1年でした。
一方で、自分の成長が組織の成長に大きく繋がるであろう感覚もあります。スタートアップの醍醐味だと思うので、プレッシャーは受け止めつつ、この刺激的な状況をメンバーの皆とも楽しんで行けたらと思います。


enechainでは、一緒に事業を成長させて、自身も成長していける仲間を募集しています。 ご応募お待ちしております。
tech.enechain.com herp.careers

それでは皆様、今年もお疲れ様でした。良いお年を!