はじめに
こんにちは、enechainのPdMのokpです。2024年10月9日にリリースされた電力卸取引のオンラインマーケットプレイス「eSquare Live」のPdMを担当しています。
eSquare Liveは、現物から先物まであらゆる商品を、板画面上でリアルタイムで取引できるプラットフォームです。プロダクト開発の裏話やグッドデザイン賞をとったUIについては、他のメンバーの記事をぜひご覧ください。
- はじめに
- 触れて感じて、プロダクトの鼓動を ~社内テストの舞台裏~
- 「誰もやってくれない?」全社イベントで見えたリアル
- 同じ目線で、同じテーブルに ~寄り添いの場をつくる~
- めっちゃ質問してくるやん! ~生まれる共感と熱量~
- 気づけば、変化のトリガーになっていた
- 最後に
触れて感じて、プロダクトの鼓動を ~社内テストの舞台裏~
10月のリリースまでにユーザーの声を集めて、ギリギリまで最善策を検討すべく、社内外の方々にeSquare Live(以降、eSL)を使ってもらう機会を設けました。大きく分けて以下の4段階のステップで、ヒアリングを進めました。
- 社内テスト1:PdMを含めたeSL開発メンバーで集まって、プロダクトを触る
- 社内テスト2:社内に公開、ビジネスメンバーを中心に使ってもらう
- 社外向けテスト:お客様を訪問し、eSLを実際に使ってもらう
- 模擬取引会:希望されたお客様を同日に集めて、模擬の取引をしてもらう
この中で想定外に障壁だったのが、ステップ2のビジネスメンバー向けの社内テストでした。
なぜか。「Notionに使い方があるので、適当に使ってフィードバックください」が通用しない世界だったことが挙げられます。
ステップ2の社内テストで、何が起こったのか、どのようにして全社を巻き込んでいったのか、その結果何が起こったのかを振り返っていきます。
「誰もやってくれない?」全社イベントで見えたリアル
まずは社内に周知!ということで、月2回実施している会社全体の共有会AllHandsで取り組みを紹介し、参加者を募りました。
秋頃にリリースする、激アツプロダクトだし、既にあちこちで会話されているし、みんな興味を持っているから、いろんな人が勝手にプロダクトを使ってフィードバックを記載してくれるだろうと考えていました。KPIとして、約1ヶ月で30名以上に参加してもらうこと、150件以上のフィードバックを集めることを目指していましたが、すぐに完了するつもりでした。
が、いざ始まると、フィードバックをくれるのはエンジニアばかり、ビジネスメンバーのコメントは遅々として増えない日々…。痺れを切らして、DMをしたりオフィスで声をかけたり、泥臭いスタイルでちまちまと活動をしました。個別で声をかけると興味あるよ!と言ってくれるものの、その後、コメントをくれるところにまで達しない状況が続きました。
同じ目線で、同じテーブルに ~寄り添いの場をつくる~
どうやら、聞けば答えてくれるけど、時間を割いてまで、能動的に動くほどの温度感はないっぽい‥
打開策として考えたのが、「勉強会スタイル」にして時間を抑えてしまうこと。ブローカーや営業メンバー向けに60分の時間を抑えて「みんなで使ってみる会」を実施しました。嫌がられるかな?と思っていましたが、意外とノリよく参加してくれた印象です。
めっちゃ質問してくるやん! ~生まれる共感と熱量~
特別な準備は何もせず、特定の時間に関係者を集めて、eSLの画面を見せながら、ログイン方法から使い方まで、丁寧にひとつひとつ説明していきました。
気をつけたこととしては
- 発言しやすい数のメンバー単位で集まってもらい、全員がeSLを使う場となること
- マニュアルは渡すけれども、完全には理解していない前提で説明する
- 質問はその場で受け付けて、その場で回答
- 同じ質問、些細な内容でも、発言してもらう
- 積極的に質問をしてくれるメンバーを一人は入れておく
すると「ここはどう使うの?この時はどうやったらいいの?」出るわ出るわ、質問の数々。
見えてきたのは、TECHメンバーがいつも使っている開発環境へのログイン、それ自体がハードルだったり、何をどこまでやれば良いのか分からない、勝手に触ってもいいの?と言った、私が想定していたよりも、もっともっと手前に障壁があることでした。
意見はあるから、言いたいことを存分に言える環境まで用意してくれや!という話だったのです。
勉強会というスタイルは
- そっと背中を押す機会となり、eSLに触れるきっかけになった
- ログインしてeSLを使う一連の流れを具体的に見せることで、使用するイメージを持ってもらうことができた
- みんなで使うことで、質問が出やすかったり、相乗効果で深い質問が生まれた
良い結果を引き出してくれました。
結果として、フィードバックの数は順調に増えて、最終的に186件のフィードバックを収集できました。
気づけば、変化のトリガーになっていた
社内テストを積極的に実施したことは、単にフィードバックを収集できただけではなく、良い流れを生み出すことに繋がります。それは、開発に携わっていない社内メンバーの意識が変化したことです。 明らかにeSLに関する質問をされる機会が増え、MTGでは勉強会の実施前よりも解像度の高い議論や発言が増えたと感じました。
今までは、「TECHチームではeSquare Liveという取引ツールを開発しているらしい、今後自分にも関係あるかもしれない」という程度の認知だったものが、「eSquare Liveをお客様にどう活用してもらうか?そのために自分は何ができるか?」という視点に変わりました。 リリースに向けて、文字通りメンバーが一丸になって動きだした瞬間でした。
最後に
PdMにとって、ユーザーの声に直接触れることは、プロダクト改善の鍵です。その第一歩として、まずは社内のメンバーとしっかり向き合うこと。特に営業メンバーやブローカーは、プロダクトの最初のお客様のような位置付けです。何を課題と感じているのか、しっかりと寄り添ってヒアリングすることが大切だと考えています。顧客に一番近いPdMを目指して、来年も頑張るぞー