満足度90%超え。「参加してよかった」オフサイトをつくる“しらけのイメトレ”

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この記事はenechain Advent Calendar 2025の19日目の記事です。

enechainPdMの加藤(@mk_mitarashi)です。 サイバーエージェントでマッチングアプリ開発に5年ほど関わり、HRSaaSのシードスタートアップを経て、enechainでPdMをしています。

振り返ると事業と組織にずっと興味があるキャリアです。最近は有志のカルチャー推進チームで特命係的にオフサイトの企画などの施策をやっています。

先日企画したTech本部のオフサイトは、ありがたいことに事後アンケートでの満足度は90%でした。

参加者が「来て良かった」と思えるように頭を悩ませ企画しましたが、そこでやって良かった思考法として「しらけのイメトレ」を紹介します。

この記事がちょっと力になれる人
- オフサイトや社内イベントの企画を担当している方
- 良きイベントのあり方を模索している方

オフサイトの失敗あるある

前職からよくあったのが、「とりあえず毎期やっているからやってみよう」とルーティンで開催してしまうケース。

同じアジェンダをなぞった結果、組織のフェーズとコンテンツが噛み合わず「時間だけが取られたな」という感覚になってしまいます。コンテンツが聞くばかりになると飽きてしまうことも。 結果として、「オフサイトってなんだか面倒だな」という印象になり、参加率も悪くなる…。

こんなことをこれまで経験しました。

オフサイトは成功すれば事業の起爆剤になる

enechainでは年に2回、顔を合わせる取り組みとしてオフサイトを実施していました。

特に自分が所属するTech本部は平均週1~2出社くらいで、顔を合わせる機会に限りがあります。

オフサイト企画に着手した時は、プロダクトが複数あることに加え、心強い仲間がたくさんジョインして拡大期を迎えており、ほかチームの状況がよりわかりづらい状況でした。 加えて戦略のアップデートがあったので、理解を深めスタートダッシュにブーストをかける、オフサイトの価値を発揮しやすい機会でした。

一方で普通に企画してもあるあるの失敗ケースをなぞってしまう危機感もあり、オフサイトに想いのある有志の企画チームを募って「今のTech本部にフィットしたオフサイトを作る」プロジェクトをすすめました。

ここで、新卒時代を過ごしたサイバーエージェントの人事役員曽山さんの「しらけのイメトレ」という思考法を取り入れてみました。

結果としてオフサイトは満足度90%超え。これはそこそこ汎用性があるかもしれない…ということで企画プロセスを紹介させてください。

そもそも「しらけのイメトレ」とは何か?

新卒でお世話になったサイバーエージェントの人事管掌役員の曽山さんがブログで書いていた考え方です。

(元ブログはこちら:https://ameblo.jp/dekitan/entry-12604141831.html

曽山さんのブログでは人事制度が走り出した場合の組織の白け=幻滅したり、興ざめするような反応を具体的にイメージしようという話で紹介されていました。以下抜粋です。

白けのイメトレは、「どんな人に、どんなセリフの白けが生まれるか」というのが基本です。
たとえば新しい評価制度を始めるとした場合の例で考えます。ホワイトボードやスプレッドシートを使って書くのがおすすめです。

1)縦方向に、利用者の属性を書く。役員、評価者、メンバー(評価される社員)などなど
2)白けのセリフを書く。それぞれの属性の人が白けを言うとしたらどのようなセリフか

役員 「フォーマットが見にくい」「・・・」「・・・」
評価者 「評価項目が多すぎる」「・・・」「・・・」
メンバー 「そもそも振り返りや対話をしてくれない」「・・・」「・・・」

などのセリフを、運用を開始する前に徹底的に出します。この作業は本当に苦しく、辛いのですが、人事制度で失敗するケースで多いのは、対処療法しようと思うけどできないワナ。リリースしてから出てくる声に、ひとつひとつ対応しようとすると、時間がかかったり対応できなかったりして失敗になってしまうというものです。

この考え方をオフサイト企画にもありがたく流用させてもらいました。

オフサイト版「しらけのイメトレ」とは

オフサイト(イベント)に適用するときも同じ流れです。

  1. 参加者の属性を書く
    • 具体的であればあるほど良いです。
    • (例) Aプロダクトチームのエンジニアの田中さん、プラットフォームチームの高橋さん
  2. 一つ一つのコンテンツをなぞってしらけのセリフを書きだす
    • (例) 今季の戦略発表中、高橋さんは「長いな〜」って飽きてしまいそうだよな
    • (例) ディスカッションパートを用意しても、鈴木さんは「議論する材料がないな」って思いそうだよな
  3. しらけのセリフを潰せるように企画を見直す
    • (例) 今季の戦略発表は聞くだけじゃなくてパネルディスカッションにして質問も受け付けてみよう
    • (例) ディスカッションパートで議論できるように事前知識として戦略発表を聞いてほしいと最初のタイムテーブル紹介でアナウンスしよう
  4. 2に戻る

「だれに」「どんな気持ちになってほしいか」「それはなぜか」の事前準備が大事

ここで、誰にどんな状態になってほしいのか?がないとイメトレできません。 事前準備が足りないこともよくあるので、イメトレの前に企画段階でやってみてよかったことを紹介します。

企画が先行している場合は逆算して目的を出してみる

今回のオフサイト企画はルーティン化したものを組織のいまに合わせて料理する流れでした。

言語化できていなかったものの、最初は目的意識があって企画が出発したはず。企画から逆算して目的を推察すると課題の輪郭が見えてきました。

切り口が思い浮かばなければAIに企画書を読ませるのもあり。こんな指示で比較的いい感じに書き出してくれます。

社内イベントを企画しています。
あなたは組織活性イベント企画のプロとして振る舞ってください。
このコンテンツからイベントが解決できる課題と目的、社員の中での想定ターゲットのパターンを書き出して。

課題がふわっとしてしまう場合はN=1に立ち返る

今回の企画にあたっては、「だれに」は決まっていた(Tech本部のメンバー)ものの「どんな気持ちになってほしいか」「それは果たして組織として求められているのか」がわかりませんでした。

そこで、プロダクト開発と同じでターゲットの解像度を上げることが大事!ということで、参加予定の方にインタビューをしました。 プラットフォームチームからアプリケーションチームまで、組成がまもないチームから歴史が長いチームまで。ここで課題の仮説を検証することで、いま解くべきイシューと理想からのギャップの輪郭が掘れていきました。

これらを元に「何をするか」を決め、タイムテーブルとコンテンツの概要を作ります。 イメトレを通して方向性を固めるので、この時は箇条書き程度です。

イメトレ開始!参加者の思考回路をなぞる

タイムラインを参加者の気持ちになってなぞり、イベントの最初から最後までをシミュレーションします。

よりよくイメトレするためにやってよかったことを紹介します。

議論を盛り上げるバランス調整

コンテンツ内に議論タイムがあったので、適切に盛り上がるようにバランスを調整しました。

世の中には「議論をリードするのが得意な人」と、「それを盛り上げるのが得意な人(相槌を打ってくれたり別意見を出してくれる人)」がいます。それぞれのタイプが共存するように差配をしました。

企画チームでロールプレイング

冷静に評価できるように、役を割り振ってタイムテーブルをなぞってみると別角度の課題が見えました。

(こんな感じでやってみた例)

ファシリ役「着席して、席に座ります。さぁこれから戦略発表です。事業部長のBさんが喋り出します。発表の内容は〜〜〜〜です。…どう感じました?」

参加者役「うーん。どんなスタンスで聞いたら良いかわからなかったかも」

ファシリ役「オッケー。その後に戦略を踏まえた議論タイムを設けているんだよね。その議論の参考情報として聞いてほしいって最初に言った方が良さそうだね」

---このイメトレを通して、事前準備で定義した「イベントが終わった後に誰にどんな気持ちになっていて欲しいのか」と比較します。

足りないところはアップデートして、またイメトレを繰り返して、これで良しと思えるものに仕上げます。

一人企画なら、AIも使える

「想定していなかった角度の意見」をインプットする意味ではAIにレビューしてもらうのも手です。 事前準備さえインプットできればこんな指示で比較的いい感じのフィードバックをくれます。

ターゲットになりきって、思考実験を行ってください。
『目的達成が困難になる』ネガティブなシナリオ(彼らがしらける瞬間と、その後の行動)を、具体的に記述してください。

良き組織の追求は終わらない

ここまで、手応えがあったプロセスの例としてしらけのイメトレを紹介しました。

とはいえ一度のオフサイトができることは「組織をちょっと前に進める」こと。 今回のオフサイトも改善の余地だらけです。

ショットの施策で高まったモメンタムを長続きさせるには別の仕組みづくりが必要だな、だとか、オフラインに限定してしまったのでオンライン参加したい人にはどうしよう、だとか、考えは尽きません。

事業も組織もトライアル&エラーの繰り返しです。

もしこの記事を読んでくださって同じような課題と向き合う方がいたら、ぜひ試行錯誤や考え方の分かち合いをしたいです。 (カジュアル面談フォームからでも、Xからでも。)

そして、この環境で一緒に良き事業、組織を作る仲間を探しています。

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