はじめに
はじめまして、eClearデスクでエンジニアリングマネジャーをしている@secchan です。
enechainでは、電力会社や新電力が電力を取引することが出来るオンラインのトレーディングプラットフォーム「eSquare」をはじめとして、新電力の会社の経営上のリスクを管理するための「eScan」、市況の情報など取引に必要なあらゆるデータを提供する「eCompass」などのサービスを提供しています。 私は、トレーディングプラットフォームで取引を行う際に使用する保険の仕組みである「eClear」の開発デスクのマネジャーを担当しています。
今回は技術系の内容ではなく、私がEMになってからの約2年間を振り返って考える、EMとは何か、enechainで求められるEMの特徴とは、という点についてお話します。
enechain在籍中にEMになった一例として、こういう人も働いているという点をお伝えできると幸いです。
EMになったきっかけ
私は最初からEMとして入社したわけではなく、元々はソフトウェアエンジニアとして、バックエンドやインフラを中心にトレーディングプラットフォームの開発を担当していました。 入社当初は自分のキャリアについてのイメージが定まっていたわけではありませんでしたが、なんとなく「こういうエンジニアでいたい」というイメージはありました。
月並みですが、前職でのチーム開発を通じて、より高い壁を超えるために個人だけではなくチームのポテンシャルを出すことの必要性や、みんなで何かを成し遂げられた時の喜びの大きさを実感した経験から、自分が技術面でスキルを突き詰めていってチームを引っ張るよりも、チームとして高いパフォーマンスを出すために動き、それが事業貢献に繋がってくる、そんなエンジニアでいたいという強い思いがありました。当時はアシスタントマネジャーという立場でしたが、プロダクト開発もしながら、EMのサポートとしてチーム全体に関する施策にも取り組んでいました。
そんな中で入社して9ヶ月ほど経った頃にCTOの須藤に声をかけられたことをきっかけに、より広い領域と大きな責任を持って自分らしく事業に貢献していきたいと考え、2年目からEMにポジションチェンジする道を選びました。
もちろん不安はありましたが、周囲の心強い仲間の存在、Tech組織以外にも自分を気にかけてくれる人がいるenechainらしい温かさに支えられてきた中で、EMってこういうものなのかな、というのが見えてきました。
EMの役割
EMには正解が無い、というのはよく聞きますし、周囲のEMとの会話でも度々話題に挙がり、確かになと思ったりもします。 EMに求められる振る舞いは、それぞれ会社の考え方、環境、フェーズ、何と向き合うか、など様々な要因によっても変わり得ます。
ただ、今の私が思うEMとは何かを言葉にしてみると、「担当領域において、プロジェクトや事業の成功のために必要なあらゆることに責任を持つ役割」だと考えています。
責任という言葉をResponsibilityとAccountabilityという言葉で考えてみると、結果に最終的な責任を負う立場としてのAccountabilityは当然ながら、一方で目標の達成に必要なことを広い目で捉え、誰かに任せるのであれば最後まで追いかけて任せきりにせず、いざという時には自分が手を動かしてでもやり遂げる、というResponsibilityを負う立場として最善を尽くすことが重要です。「最も自分ごと化する人」と言い換えても良いかもしれません。
もちろん自分だけでは出来ないこと、リソースやケイパビリティの理由で実現が難しいことは大いにありますし、チームや組織で動いている以上は本当に自分だけの責任になることは無いのかもしれません。 ですが、最後は自分の責任なんだと自分自身が受け止めて、周囲を巻き込んで成功のために最善を尽くすこと、そのために出来ることをやり切るという姿勢を持つことがEMとして大切な要素だと考えています。
これが、今の自分が考えるEMの役割です。
enechainにおけるEMの特徴
前段では抽象的な考え方やスタンスの話をしましたが、以下では、もう少し具体的にenechainならではのEMの特徴や難しさについても触れてみます。
EMについて話す時によく以下のような4領域(4象限)が挙がると思いますが、
(参考書籍: エンジニアリングマネージャーのしごと)*1
それぞれの領域について、EM自身の強みや、ある領域で強いメンバーがいてここは任せたいというシーンはあるものの、特に自分の様なプロダクト開発のチームでは基本的に全ての領域での貢献やアウトプットが求められます。 その上で、enechainならではの特徴として、事業ドメインの複雑さと、それによる意思決定の難しさの2つを取り扱う必要があると考えています。
私達はエネルギーのトレーディングプラットフォームとして将来の国のインフラとなっていくものを創っていますが、そこには大手の電力会社はじめ多くの企業や省庁なども関わっており、トレーディング × エネルギーというそれぞれが難しい領域の掛け合わせであることも相まって、Techの考えだけで物事を進めることはかなり難しいと感じます。
日々当たり前の様に使っているエネルギー(電力)ですが、その取引をするにあたっては、例えば実際にやりとりをしたい電力の量をはじめ、時間帯や場所、スプレッド(場所や期間の交換)といった取引形態、クリアリング(与信チェック)など、電力ならではの要素を加えた取引の複雑性があります。 そこに加えて電力業界の規制(例: 内外無差別等)が絡んでくることもあり、業界やユーザーのニーズを慎重に取り扱いながら、時にはユーザーと密にコミュニケーションを取り、本当に必要とされるサービスを提供する必要がある意思決定の難しさという点も特徴的です。
業界や実際の取引を良く知るビジネスサイドのメンバー含め、特に専門的な知識を持つドメインエキスパートと議論を重ね、複雑な課題を紐解き、ようやく開発のイメージが見えてくる、というシーンが多いです。それによってサービスの設計レベルでの意思決定がなされることもあります。
Techとビジネスサイドの協力が必須のため必然的に関わるメンバーも多く、随所での調整や意思決定の難しさはあるのですが、逆に言うとそれだけ広く大きな範囲に責任を持ち、より大きな目標に挑戦することが出来るというのもenechainならではで、より事業そのものに貢献できるという実感を得やすい所も特徴の1つと考えています。
最後に
僭越ながら、この記事では自分の考えるEMの役割についてお話させていただきました。
自分自身このようにアウトプットする形で振り返る機会は少なかったのですが、記事を書く事で自分の中の考えがより言語化される感覚がありました。
書いてみた中で自分自身が徹しきれていない所もありますが、同じく悩んでいる現EMや、これからEMを目指す誰かの参考になれば幸いです。
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