ドメイン知識がなくても人類の未来に心臓を捧げていいですか?

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こんにちは、6/1にenechainに入社したPdMの加藤です。

突然ですが、「進撃の巨人」って面白い漫画ですよね。こうした少年漫画の主人公は大体が特別な才能と運を持っていて、それを活かして友情と努力で困難を乗り越えていくストーリーが描かれます。

一方で、リアルな自分を見つめると、特別な才能も、運もないです。でも、日々何者かになりたくて葛藤しながら生きています。

この記事は、ちょっとでも大志を抱いているが、イマイチ未知のドメインへ踏み込めない方に向けた入社エントリという名のポエムです。そんな方の背中を少しでも押すことができ、世の中に挑戦者が1人でも増えれば嬉しいです。

エネルギードメインとは全く縁がなかった身、かつ特に天賦の才もない身で、なぜPdMとしてenechainに飛び込んだのか、実際に働いてみてどう感じているのか、エネルギー初心者の視点からしたためます。

enechainってどんな会社?

enechainは電力の卸取引や環境価値の取引の機会を提供するマーケットプレイスを運営する会社です。

電力の卸取引ってなんぞや?はて?となったあなた、エネルギー初心者仲間です。私も同じように感じていました。

enechainとの出会いのきっかけになった、上長の大橋さんからのスカウトメッセージでは、こんなふうに説明されていました。

2016年に日本は電力全面自由化がスタートし、大手電力会社によって独占されていた日本の電力マーケットに新電力と呼ばれる小売事業者が参画し、電力の卸市場という、発電会社と小売事業者間で電力を取引する巨大なマーケットが生まれました。enechainはトレーディングプラットフォームを開発し、この電力取引のマーケットそのものを創っているスタートアップです。
設立から5年弱のベンチャーですが、enechainに集まったこのメンバーだからこそ実現できる事業を展開しています。 ここ数年で生まれた100兆円規模のポテンシャルを持つこの巨大な日本の電力業界の "ど真ん中" に "ど直球" のソリューションを提供しています。

それでも、はて?電力自由化は少し聞いたことはあるけれど…電力の取引って、何…?想像できないな、という感覚でした。

身近な例に例えてみます。私たちに電気を届けてくれる電力の小売事業者は売り物として電力を売って売上を立てています。八百屋で言うと、野菜を売って儲けているのと同じです。八百屋であれば、野菜を仕入れる必要があります。この野菜は東京の八百屋だったらたとえば豊洲市場で仕入れますよね。この豊洲市場が、電力の卸取引市場にあたります。

ではenechainはどんな課題を解決しているのか。八百屋になぞらえて例えてみます。昨今の温暖化で、野菜の値段は乱高下しています。春先は大根がとっても高くなったり、最近は記録的な暑さで夏野菜が安くなったりしています。電力も同じように仕入れ値が乱高下します。ここからは八百屋と電力の小売事業者で違う点ですが、八百屋は仮に仕入れ値が高くなったら、売値も同時に高くします。一方で、電力の小売事業者はかんたんには売値を上げられません。なので、仕入れ値が高くなってしまうと、最悪、赤字になってしまいます。これによって、実際に新電力の大手企業が破産しています。

enechainのマーケットプレイスは、小売事業者の破産を避けるために、電力を前もって仕入れることを可能にしています。八百屋に例えると、たとえば今年の夏のトマトが値上がりする予測があった際に、先にある程度の仕入れ量と仕入れ値を決めた取引を市場担当者と交わすことで、価格を上げなくて済むようにするイメージです。値上がりのリスクをヘッジしておくのです。

これによって、われわれ生活者は電気代がやたらと高くなることを避けられます。電力で稼働する工場を持つ事業者も、コストに当たる電気代がかさまずに済むので、利益を安定して得られます。その利益が労働者にもお給料で還元されるし、消費者は安くて良いものを買うことができます。私たちの生活をこうして陰から支えるのがenechainの事業です。

なぜenechainを選んだのか

ここまでものすごく語ってしまいましたが、ほんの1ヶ月前は、エネルギーのエの字もないキャリアでした。シード期のスタートアップのカオスに揉まれる日々は刺激的で、ミッション共感で集まった素敵な仲間やお客様と出会えたことも幸せで、スタートアップの働き方に惹かれていたので、起業も考えた時期もありました。

そんな中でenechainでの挑戦を決めた理由は、日本の未来を支える壮大なミッション、とてつもなく大きなマーケットに魅力を感じたからです。そして、この大きなミッション・市場において事を為すには、到底一人の力では成し遂げられない。チームで大きな山を登りたいと思ったからです。

ハッとさせられた代表のことば

enechainを知ってから、代表の野澤さんのnoteにある、とある一節がどうしても気になっていました。

僕たちenechainは誰もが参加でき、あらゆるエネルギーの価値を交換できるフェアなマーケットプレイスを創ることで、社会が秘めたる可能性を掘り起こし、人々の豊かさと世界の平和に貢献する、という壮大なMissionに挑戦し続けます。

この「世界の平和に貢献」することと、エネルギーのマーケットプレイスがどうしても繋がらなくて、野澤さんに質問しました。その回答が今でも印象に残っています。

「戦争って、なんで起こると思いますか?」

ハッとしました。資源、つまりエネルギーの取り合いが戦争のきっかけになるのです。

enechainはJCEXというサービスも抱え、排出権の取引マーケットにも進出しています。

電力の卸取引から染み出して排出権取引まで活性化していくことで、クリーンエネルギーを使う経済的力学は働きやすくなり、日本のエネルギー自給率が上がる。そうなると、戦争に巻き込まれるリスクも減っていく。この循環を起こすことが平和につながる。

ーーここまで、クリアに事業と平和をリンクさせて語っている方は初めてで、シンプルに、この挑戦に人生を賭けてみたい、と思いました。

もちろんビジネスは綺麗事だけではないので、経済活動をする必要があります。次の挑戦の軸として、市場の大きさも重要なファクターとしておいていました。その点、エネルギーのマーケットは100兆円の市場規模を目指せる、とてつもなく大きな市場です。

ミッションの尊さ、市場のとてつもない大きさ、その2つに惹かれました。

最後のひと押し「なんのためにスタートアップをやるのか」

転職においては、自分の意志が湧き出るものにベットしたいと思い、いろんなスタートアップの夢を聞き、未来を想像していました。enechainに飛び込もうとする意思決定を引き留めていたのは、エネルギーのドメイン知識がない自分でも活躍できるのか?という問いでした。

その中で、後押しされた言葉が2つあります。

1つはスタートアッパーの聖書『ゼロ・トゥ・ワン』の一説。

絶滅か、それとも進歩か。それは僕たち次第だ。未来が勝手によくなるわけではないーーということは、今僕たちがそれを創らなければならないということだ。

今僕たちにできるのは、新しいものを生み出す一度限りの方法を見つけ、ただこれまでと違う未来ではなく、より良い未来を創ること〜ーつまりゼロから1を生み出すことだ。

もう1つは、FoundX馬田さんのブログ

(前略)

しかしこの10年、スタートアップエコシステムは発展し、成熟してきた中で、私たちは「人が欲しがるものを作る」ことに最適化されました。されすぎてしまったと言っても良いかもしれません。

(中略)

こうした課題認識から、新しいモットーとして、

未来の世界に必要なものを作れ

Make Something the Future World Needs

というものを考えました。 (中略)

「ビジネスがしたい」だけではなく、「世界に必要なものを作りたい」「理想を強く持ちたい」という人たちはぜひ集まりましょう。集まるのが苦手な人も多いと思いますが、この声を大きくしていかなければ社会を変えることはできませんし、世の中には小さく手堅く人たちの集まりのほうが多いので、自然な状態でいると、多くの人がそうした文化に染まってしまいます。

だから本当に世界を変える、産業を作ると思っている人は「未来の世界に必要なものを作れ」という言葉に賛同したり、周りに問うてくれると嬉しいです。賛同や問いが広がれば、周りの興味関心の方向性が少しずつ変わっていくはずです。

これらの言葉に触発され、

大きなことを成したいと思えている今の自分の情熱を大事にして、思い切り向き合ってみたい。

未知のドメインに興味を持てている好奇心を育ててみたい。

未知のドメインで事業をドライブする難しさを楽しんでみたい。

その壁を乗り越えられると自らが証明することで、これから挑戦する人たちのハードルを下げたい。

と思い、入社を決めました。

入社して1ヶ月、感じるドメインの壁

確かにドメイン理解に必要な努力はこれまでの領域に比べると多いです。ただ、工夫次第でなんとでもなるとも感じています。

何よりも、enechainとしてのドメイン知識のキャッチアップ支援に支えられています。入社時に配布される通称「緑本」で基礎知識はインプットできるし、事業にフォーカスした知識は社内の講義動画や資料で学べます。

それ以上の解像度を上げていくプロセスは、いわゆるプロダクトディスカバリーと同じです。愚直に知る努力をすれば、ミッションに近づくためのドライバーになれるのでは。これが1ヶ月目の所感です。

シリーズBフェーズで感じる良いサプライズ

外からはわからなかった良いサプライズは、予想以上のカオスさと組織の懐の広さでした。スタートアップを愛する人、大企業から飛び込んでいた人も皆、蒼い炎を燃やしながら、同じベクトルでミッション達成に向けてワンチームで進んでいる感覚が心地よいです。

何よりも、すでに出来上がった城があるというよりも、これから城を建てていく過程を味わえるのが面白味だと感じます。

office

表参道のオフィス。画像左から伸びる青いデスクが、「蒼い炎」を表しています。オフィスのデザインで一番好きなところ。

最後に。

enechainはエンジニア、デザイナーをはじめとする幅広い職種で、壮大なミッションに向かって歩む仲間を探しています。

この雑なポエムで少しでも心が動いてくださった方がいたら、その小さな揺らぎが世界を前へ進めるエンジンになると勝手に思っています。どんな形でも、微力ながら挑戦の背中を押す助けができれば嬉しい限りなので、お茶・ランチ・飲み、対面・オンライン問わず、させてください!どこでもいつでも伺います。

ここまでお読みくださりありがとうございました。

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