
こんにちは。Platform Engineering Deskの大隈(@kumashun88)です。7/12、13に開催されたSRE NEXT 2025で、enechainはシルバースポンサーとしてブース出展させていただきました。スポンサーブースでの展示内容と、ブースで実施したアンケート結果を共有します。
SRE NEXT 2025について
SRE NEXTは、SREのコミュニティ「SRE Lounge」のメンバーを中心に開催される、信頼性に関心の高いエンジニアのためのカンファレンスです。今年のSRE NEXT 2025で、5回目の開催となっています。https://sre-next.dev/2025/
弊社のSRE Deskも、社会インフラを目指すエネルギーマーケットプレイスの信頼性向上をミッションとしているため、スポンサー募集にエントリーしました。

スポンサーブースについて
ブースのテーマは「データベースのコスト削減と運用改善の取り組み」とし、直近取り組んだクラウドコスト削減活動に関する以下の成果物を展示しました。
- 内製のGoogle Cloudコストダッシュボード
- Cloud SQLのパラメータのデフォルト値を決めるADR
弊社はこれまで、プロダクト開発のスピードと信頼性の両立を目的に、ある程度余裕のあるスペックでクラウドインフラ環境を構築してきました。その結果、オーバースペックのままクラウドコストが発生し続け、事業のスケールに比例してインフラコストが過剰な状況に陥りました。そこで今年実施したのが、インフラコストの削減と、インフラコスト情報の民主化です。
削減自体重要なアクションですが、今後コスト最適化を継続するためには、SREなどの基盤チームだけでなく、プロダクト開発チームにもコスト感を把握してもらうことも重要だと考えました。展示した内製のコストダッシュボードは、開発者にとってもインフラコストを分かりやすく可視化したものになっています。

弊社はクラウドプロバイダとしてGoogle Cloudを利用しているため、デフォルトで提供されるBilling Console画面でもコストは確認できます。ただ、以下の要件を満たすために内製しました。使用技術は、BigQuery、dbt、Looker Studioです。
| Category | GCP既成のBilling画面 | 作成した内製レポート |
|---|---|---|
| UI/UX | 表示されているグラフが1つのみで、ディメンション(集計軸)やフィルタリングをみたい軸に合わせて都度調整する必要がある | 様々な軸のグラフを一枚のページに表示でき、共通のFilterでフィルタリングをかけられる |
| グラフの自由度 | コストの増加について、時系列と全体での上昇比率しか見られない | 自由な軸や粒度、期間で増加具合を表現できる。比較ロジックも自由にカスタマイズ可能 |
| ドリルダウン | Service/Sku/Projectレベルまでのみ(ラベルのFilterのみ可) | リソース/ラベルレベルの費用まで細かく見ることができる(共通Project上のリソースも、プロダクト別に可視化が可能) |
ブースでは、ダミーのコスト情報をソースとしたコストダッシュボードを展示し、来場者の方にデモを見せたり、実際に触ってもらったりしました。「内製でここまで可視化できるのはすごい、ほしい!」「プロダクトごとにコストが可視化されるのは改善意識が向きやすそう」といった多くの声をいただきました。皆さんの現場でのコスト削減活動の参考になれば幸いです。
また今後プロダクトの新規構築時に、オーバースペックな環境とならないよう、インフラ環境の標準策定にも取り組んでいます。コスト削減で特にインパクトのあったデータベース(Cloud SQL)について、設定値のデフォルトを議論するADRを展示しました。
ADRはまだレビュー中ですが、受諾され次第インフラコードの自動生成システム(Instant Universe)に取り入れ、開発者が意識することなく標準を維持できる体制にする予定です。Instant Universeについてはこちらをご覧ください。
アンケート結果の共有
また、来場者の方向けにインフラコストやデータベース運用に関する課題についてアンケートを実施し、二日間で82件の回答が集まりました。回答していただいた皆さん、本当にありがとうございました! ここで結果の一部を共有します。(アンケートはすでに回答を締め切りました)
あなたの所属組織において、インフラコストはどの程度課題になっていますか?

程度にグラデーションがあるものの、約8割の方がインフラコストを課題視していました。
あなたの組織で、コスト監視はどのような仕組みで行われていますか?

見切れていますが、クラウドプロバイダーのBilling/Cost Managementサービス(AWSのCost ExplorerやGCP Billing Reportsなど)を見ている方がほとんどでした。次いで弊社のような内製ツール/ダッシュボード、専用のSaaSも利用されていました。スプレッドシートの手動管理が行われているところに関しては、メンテナンスが大変そうな印象...
具体的なコスト削減の実績があれば、その内容をご記入ください
自由記述で、実際に取り組まれたインフラコスト削減内容についてヒアリング。多い順に以下の施策が回答されていました。
- 不要なリソースの削除(Computing、オブジェクトストレージなど)
- リソースの最適化(Podリソースの調整、DBのスペックダウンなど)
- RI(リザーブドインスタンス)/割引の購入
弊社ではRIなどのディスカウントをまだまだ使いこなせる余地があるので、見直そうと思います!
現在、あなたの組織で主に利用しているデータベース製品は何ですか?

データベースの運用改善もテーマだったので、参考までにこちらも聞いてみました(複数選択可能)。RDBとしてはクラウドインフラシェアのトップであるAWS製品(Amazon RDS、Amazon Aurora)がやはり大半を占める結果に。MongoDBやRedisといったNoSQLも積極的に利用されていました。Cloud SpannerやAlloyDBといったGoogle Cloud独自の次世代データベースや、NewSQLの導入事例はまだまだ少数派であることも伺えます。
データベース運用において、現在最も大きな課題だと感じていることは何ですか?

最後は3つまで選択OKとして、データベース運用の課題をヒアリング。パフォーマンスチューニング、コスト最適化、バージョンアップ/アップグレードの順に最も回答が集まりました。パフォーマンスチューニングとコスト最適化は同時に達成できる場合があり、コスト削減の回答でも(DBのスペックダウンの)実績が多かったことからも、まず着手すべきポイントになると思います。
参加した感想
5回目の開催ということもあり、3トラックのセッションに20以上のスポンサーブースのある大きな会場を二日間、という大規模なイベント運営がとても安定して行われていたように思います。自分は懇親会にも参加したのですが、オフラインならではの企業を超えた情報交換ができ、SRE NEXTを通じてSREコミュニティの繋がりの強さを感じました。
また、ブース担当の合間にいくつか登壇を視聴しました。CI/CDパイプライン改善の実装レベルの内容から、SRE業務がAIとの協業で起こるイノベーションを予見させるものまでバラエティに富んだラインナップだったと思います。個人的には、マネーフォワード所属のVTRyoさんの「60以上のプロダクトを持つ組織における開発者体験向上への取り組み -チームAPIとBackstageで構築する組織の可視化基盤-」が特に印象的でした。昨今注目度が上がっているBackstageで『チームトポロジー』のチームAPIを実現させることで、チーム間やチームとシステムの関係性をどの立場からもクリアにするというプラクティスは、社内でも実践するモチベーションが高まりました。
https://sre-next.dev/2025/schedule/#slot055
おわりに
SRE NEXTでは初めてスポンサーとして協賛させていただきました。アンケート回答数ベースでは82名、全体では100名以上の方がブースに来場されました! 改めまして、ご来場ありがとうございました。展示内容についてはもちろん、enechainの事業内容や開発組織体制に関心を持ってくれた方も多く、SREコミュニティにおけるプレゼンスの獲得に繋がったと思います。今後はスポンサー参加だけでなく、社内から登壇者を輩出し、カンファレンスを盛り上げたいです!

弊社ではSREを実践するメンバーをはじめ、社会インフラを目指すエネルギーマーケットプレイスを一緒に作っていく仲間を募集しています。要項は以下からご確認ください!